◎10月31日に行われる衆議院選挙。
◎野党一本化により政権交代は起きるか?
◎しかしそれは不可能なミッションだ!
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※筆者は昔、朝日新聞のエース記者のファンでした。
そんなお花畑が、目覚めるキッカケとは?
立憲民主党に単独政権はとれない。
◎2021年衆議院選挙
今月末に衆議院選挙が行われる。
前回の衆議院選挙は2017年10月22日。
しかも今回は岸田新首相になってからの初めての選挙。
ここで負ければ戦後最短の首相となる可能性もある。
ここまで戦後最短の首相は終戦直後の東久邇宮内閣。
在籍期間は54日間。
そして岸田首相は10月4日に成立した。
10月31日の選挙で負ければ、1ヶ月ほどの期間となる。
まあ実際には国会を召集する手間があるので、
もう少し時間がかかるだろうが、かなりの短命だ。
そういう意味でも負けられない戦いとなるだろう。
そして負けられないのは野党も同じ。
今回は野党統一を行い、多くの選挙区で候補者を一本化した。
そのため多くの選挙区で与野党が1対1の対決となっている。
小選挙区では野党はバラバラだと勝てない。
しかし野党は多くの政党があり、調整は難航していた。
今回は「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(以下「市民連合」)が
仲介役となって、野党4党(立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組、社民党)の
共通の公約を作成することができた。
それによって候補者の一本化が進んだ。
報道によると
212の選挙区で野党は一本化したという。
立憲民主党の福山哲郎幹事長は16日、東京都内で記者会見し、衆院選で同党と共産、国民民主、れいわ新選組、社民の各党などが候補者調整を行った結果、212の小選挙区で一本化できたと発表した。
※2021年10月16日 時事ドットコム ※赤字は筆者
元々違う政党なのに候補者を一本化するのは大変だっただろう。
しかし小選挙区は少し風が吹けばオセロのようにひっくり返る。
そういう意味では誤解を恐れずに言えば、面白くなってきた。
だがここまでして負ければ、野党共闘にも亀裂が入る。
タダでさえ野党共闘はガラス細工の共闘となっている。
立憲民主党と日本共産党はそこまで仲が悪くないが、
立民党を支持している労働組合「連合」は反対している。
新しく連合会長になった芳野友子氏は立民党の枝野代表に対して
共産党との協力に否定的な見解を伝えている。
連合の芳野友子会長は11日、立憲民主党の枝野幸男代表と就任後初めて国会内で面会した。立民が衆院選で政権交代を実現した場合に共産党が「限定的な閣外からの協力」をするとの両党合意について「連合として閣外協力はあり得ない」と申し入れた。枝野氏は、政権の協力は限られたものになると理解を求めた。
※2021年10月11日 東京新聞 ※赤字は筆者
しかし日本共産党側も多くの候補を降ろして一本化に協力している。
それなのに結果が出なかったら、立民党への風当たりもキツクなるだろう。
つまり今回の選挙では自民党総裁で首相の岸田氏だけではなく、
野党第一党立民党の枝野代表にとっても正念場と言える。
そして枝野氏としても問題は共産党との関係だ。
先に触れたように、立民党の支持団体「連合」は共産党との関係を否定的に見ている。
他方、現実問題として自民党に勝つためには共産党の協力は不可欠だ。
そのような板挟みの中で結果を出さなければ、
それは立民党および枝野代表への批判として跳ね返ってくるだろう。
それを気にしたのかどうか立民党の枝野代表がとんでもない発言をした。
なんと立民党で単独政権を目指すというのだ。
◎不可能なミッション!
単独政権とは、当然のことながら今回の選挙で単独過半数を獲得することを言う。
そうでなければ単独政権はできない。
例えば野党統一候補で過半数を得ても、立民党だけではなく
社民党やれいわ新選組も加えて過半数なら単独政権とは言わない。
それは連立政権だ!
立民党としては先に触れた連合の反発を恐れ、
共産党と政権協力をしないというために単独政権と言っているのだろう。
現実問題、れいわ新選組や社民党が多くの議席を得ることは考えにくい。
そのため野党4党で共闘と言いつつ、実際は立民と共産の共闘の比率が大きい。
そのため「連立」というのが憚れたのだろう。
そのため単独政権という。
しかしそれは不可能なミッションなのだ。
もちろん衆議院だけでは過半数をとっても意味は無い。
参議院で過半数をとらないと法案は通せない。
そう思う向きもあるだろう。
しかしそれを差し置いても今回の衆議院選挙では
立民党が単独政権など不可能なミッションだ。
それはそういうことかというと
候補者数が全く足りてない、ということだ。
今回の総議席数は465議席。
つまり過半数とは233議席。
だから233以上掲げていない政党は
過半数をとる意思が無い。
そう思われても仕方がない。
そして今回の立民党の候補者は
じゃあ過半数は無理ジャン!
一応、過半数はとれるが、全員受からなきゃならない。
じゃあ…やっぱりムリだろ!
240の候補から233以上当選させるには、7人しか落ちてはいけない。
その勝率は97.1%!
ほぼ…というか全く不可能だろう
因みに前回(2017年)の立民党は78人候補にたてて、55人当選。
勝率は70.5%!
これでも当時は大勝利と言われた。
確かに当時は立民党が出来たばかりで、なおかつ野党は分裂していた。
それに引き換え今回は野党統一ができ、それなりの時間もあった。
だから前回以上の勝利を目指すのは分からない訳ではない。
しかし少数政党ならいざ知らず、3桁の候補を掲げる政党が、
97%の勝率を得るのは不可能である。
そう言う意味でも不可能な挑戦となる。
大体、単独政権とは単なる過半数をとればよいというものではない。
安定的な政権運営が出来なければならない。
つまり法律や予算を通すためには国会で多数を通すのだが、
その際には本会議だけではなく、委員会で行う。
その委員会とは常任で17の委員会がある。
この委員会で多数をとらないと、安定的な政権運営はできない。
その数は「安定多数」と「絶対安定多数」で違う。
「安定多数」とは各委員会で同数の委員を確保し、なおかつ委員長を確保できる数。
委員長は採決には入らないが、決議が同数の場合、自らの一票を入れることができる。
それであれば与党側のペースで政権運営ができるのだ。
「絶対安定多数」とは各委員会で委員長を出し、なおかつ委員数で過半数を確保できる数。
そして「安定多数」は244議席
「絶対安定多数」は261議席となっている。
つまり最低でも244議席無いと安定した政権運営はできないのだ。
だから枝野氏が言う単独政権とは、候補数からもあり得ない。
もし過半数を確保することができても、早々に政権運営で行き詰まることになる。
そうなればどこかと連立を組まなければならない。
それはもちろん共産党でなくても良い。
れいわ新選組や社民党では数が少なすぎるので、
その候補は「国民民主党」となる可能性がある。
ただしそれでも単独政権ではない。
そういう意味でも枝野氏の「単独政権」発言は
勇み足と言わざるを得ない。
今回の衆議院選挙がどう転ぶかはわからない。
結果は10月31日に出るだろう。
ただし立憲民主党の単独政権だけは無い。
もし単独政権があるとすれば、候補者数からは自民党以外ありえない。
※筆者は昔、朝日新聞のエース記者のファンでした。
そんなお花畑が、目覚めるキッカケとは?