◎アメリカ専門家の戯言
◎検査数を増やすべきか?
◎検査数が多い国より、日本の死者が少ない。
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※筆者は昔、朝日新聞のエース記者のファンでした。
そんなお花畑が、目覚めるキッカケとは?
検査数を増やすことは必要なのか?
あわせて動画もご覧ください。
◎アメリカには言われたくない!
現在世界的に感染が拡大している新型肺炎。
その影響は日本においても顕著で、我々は厳しい自粛に晒されている。
毎日多くの感染者が出ており、我々は日々悲観的なニュースに塗れている。
ところでこのような中でよく言われているのが、
検査数をもっと増やせ!
という意見が強くなっていることだ。
日本は元々検査数を増やすことに熱心ではなく、
クラスターと言われる集団感染の場所を潰していくことをその戦略としていた。
これは当初うまく行っており、感染者数を抑えることに有効だった。
しかし他方で感染ルートを追えない感染者が増え、市中に感染者が蔓延することとなった。
それ故にどこに感染者がいるのかわからず、疑心暗鬼になり、
人との接触を躊躇するようになっている。
政府においても感染拡大を防ぐために、人との接触を80%減させることを目指しており、
それ故に自宅待機が推奨されることとなった。
しかし日本では欧米で行われているような強制力を伴った措置はとられておらず、
それ故に諸外国のメディアからも批判をされているという。
在米ジャーナリストの飯塚真紀子氏によると例えばブルームバーグでは
安倍政権の方針に批判的だという。
そしてツイッターでも日本の方針に批判的な意見があがっているという。
そして飯塚氏はアメリカ感染症研究の第一人者である
カリフォルニア大学バークレー校疫学教授の
アーサー・レインゴールド氏にインタビューした。
レインゴールド氏は韓国の対策を称賛させた後、こう述べた。
「検査を数多くして、感染者を発見し、感染者と接触した人々を追跡して発見し、
彼らを隔離して、感染を抑えるのです。当時に、社会的距離戦略も取り続けることです」
※赤字はママ 「同時に」の誤記か?
つまりアメリカ感染症研究の第一人者によると
「大規模検査」と「社会的距離戦略」が重要ということになる。
この意見を受けて飯塚氏は日本の対応を批判して、
レインゴールド氏の説明を聞きながら思った。日本では、
どちらも十分に行われていないではないか。
※赤字は筆者
この飯塚氏はアメリカにいながら返す刀で日本批判を繰り返す人だが、
ここでもその癖が炸裂しているようだ。
アメリカの権威はこんな意見を言っている。
それに引き換え日本政府はバカなことをやっている…と。
しかし…アメリカに言われたくない
と思うのは筆者だけではないだろう。
日本の感染者は約13,000人、死者数は約360人だ。
対してアメリカの感染者は約940,000人、死者数は約54,000人。
※4月27日現在
どっちが成果を出しているかは明らかだろう。
レインゴールド氏は自国の対応を批判することに努力するべきだ。
人口比では違うが、現在感染者数も死者数も世界で一番多いのはアメリカなのだ。
飯塚氏もアメリカの専門家の言葉を使って、日本批判するとは何を考えているのか?
自国のことをまともにできない専門家の意見を取り上げて説得力があると思っているのか?
◎検査数を増やす意味はあるのか?
もちろんアメリカの専門家に意見に感化されたわけではないだろうが、
日本でも「検査数を増やせ」という意見が増えているように思う。
安倍首相や日本政府関係者、そして感染症の専門家や
ノーベル賞学者などもそう言及している。
彼らはもちろん筆者より感染症に対する知識があり、
(特に政府関係者などは)現状を詳しく認識しているのだろう。
※それ故に筆者のような素人が違う意見を書くことは憚れる。
※だからこれから書くことは話半分で読んでください。
しかし筆者には疑問がある。
本当に検査数を増やすことに意味はあるのだろうか?
どうしてそういうことを言うのかというと、検査をしっかりしている国と
日本のようにそうじゃない国では、必ずしも結果が伴っていないからだ。
先の飯塚氏の記事においても専門家(レインゴールド氏)は
検査数を多くすることを求めている。
検査をたくさんやって、感染者を特定し、彼らと接触した人を追跡して特定し、
隔離することで感染を抑える。
これが彼らの基本戦略だ(もう一つは「社会的距離」をとること)。
そしてそれを徹底してやった国が韓国だというのがレインゴールド氏の評価だ。
また飯塚氏はこの記事の中でアメリカは検査数こそ多いが、
人口も多いためまだまだ検査が徹底していないこと、
そして日本の検査数はそのアメリカより桁違いに低いことを指摘している。
※以下の検査数のデータはhttps://www.worldometers.info/coronavirus/から引用した。
因みにアメリカは100万人当たり検査数では15,949人、
日本は1,166人であり、文字通り桁違いに少ないのが日本の実情だ。
しかし…ならどうしてアメリカは
感染者数も死者数も日本より多いのだ?
※以下の評価では感染者ではなく、死者数を基本に比較する。
その理由は、感染者数は各国の検査数により違いがあるので比較しにくい。
検査を積極的にやっている国では感染者は多くなるが、
日本のように検査数が少ない国は感染者と認識されるのは少ない。
だから感染者数を比較しても意味は無い。
※しかし死者数は誤魔化せないので、他国と比較することができる。
そのため各国の成績を比較するのに死者数を使う。また人口が多い国では当然死者数は多くなるので、
実際の死者数と並行して100万人当たりの死者数も使用する。
※一部では日本の新型肺炎の死者数には通常の肺炎の死者としてカウントされているという意見があるが、
筆者はその見解をとらない。その理由は根拠が無いからだ。
※もしそのようなことがあれば、医療関係および葬儀関係者または葬儀参列者の中から
新型肺炎に感染する人が激増するだろう。新型肺炎は遺体からでも感染が拡大する。
しかしそのようなニュースはない。
また一部、死者の中で後から新型コロナの陽性反応が出た人はいるが、それも多いはずはなく、
また彼らの中でも死因が新型肺炎でない人もいる。
だから新型肺炎の死者の中には、通常の肺炎として処理されたケースが全くなかったとは言えないが、
その数は多いはずがなく、全体の死者数が大きく変わるとは考えにくい
だから死者数を基本として比較することは有意義だと思われる。
アメリカは人口比で日本より13倍以上の検査数がある。
それなら感染拡大を抑え、そして死者数を抑えることができているだろう。
しかし死者数は約54,000人(米)と約360人(日)だ。
比較するのもバカらしくなる。
日本で検査数を増やせという人は韓国の成功に影響されているようだ。
韓国は徹底したPCR検査を行うことで、現在新規感染者数は一桁台に抑えており、
死者数もかなり減っている(ゼロの日もある)。
先程のレインゴールド氏もモデルケースに上げているように、
韓国では徹底検査による封じ込めが行われた、というイメージがある。
しかし韓国の検査数は100万人当たり11,669人だ。
アメリカより少ない!
徹底検査したアメリカより、それより少ない検査数しかない韓国の方が封じ込めできている。
因みに韓国は封じ込めできているというが、日本と比較して死者数は多い。
実数では韓国の方が少ない(日本約360人、韓国約240人)が、
人口比では日本は韓国の2.5倍なので、韓国の死者は日本に直すと
約600人(240人×2.5倍)になる。
人口比では死者数は日本の方が少ないのだ。
これはどういうことだろう。
◎他国との比較!
対策とは成果を出すためにある。
どんなに教科書通りの良い政策をやってみたところで、
成果が伴わなければそれは悪い政策となる。
そして感染症対策とは第一に人命を守るためのモノだ。
それ故に死者数を抑えるかどうかで判断することは間違っていない。
徹底検査が良い政策であるかどうかは、それが成果を伴っているかどうかだ。
つまり徹底検査した国(人口あたりの検査数が多い国)と、
そうじゃない国(人口あたりの検査数が少ない国)では
検査した国の方が成果が上がっていなければならない。
それではどうだろうか?
※以下の検査数は100万人あたり。死者数は実数および100万人あたり
※一番下に当該データの画像を貼り付けました。あわせてごらんください。
https://www.worldometers.info/coronavirus/
(検査数) (死者数) (100万人あたり死者数)
UAE 103,365人 76人 8人
イスラエル 34,971人 199人 23人
ポルトガル 32,414人 903人 89人
カタール 28,562人 10人 3人
スイス 28,343人 1,607人 186人
イタリア 28,245人 26,384人 436人
アイルランド25,785人 1,063人 215人
オーストリア25,274人 542人 60人
ドイツ 24,738人 5,877人 70人
シンガポール20,815人 12人 2人
スペイン 19,896人 22,902人 490人
ロシア 19,719人 747人 5人
カナダ 18,130人 2,465人 65人
ベルギー 16,313人 7,094人 612人
アメリカ 15,949人 54,265人 164人
ベラルーシ 15,612人 72人 8人
韓国 11,669人 242人 5人
日本 1,166人 360人 3人
※以上のデータは4月26日時点
ここにピックアップした国の条件は2つ。
1.感染者数が1万人以上の国
2.韓国の100万人当たり検査数より多い国。
まず「1」だが、人口の少ない国を除外するためだ。
例えばサンマリノやフェロー諸島のようなところは日本と比較するのに不適切だ。
そして感染者数1万人以上としたのはある程度感染が広まった国を対象にしている。
例えば台湾のように水際で感染防止ができた国は、現在の日本と比較することはできない。
今後の参考には大いになるだろうが、ここでは対象としていない。
それ故、ある程度の「人口規模」と「感染拡大」をしている地域として、
感染者数1万人以上とした。
また「2」であるが、現在の日本では「韓国を成功例」として評価する向きがある。
韓国のように「検査数を増やすべき」という主張が幅を利かせている。
筆者はこのような主張に疑問を持つので、「韓国より検査をやっている国」を対象とした。
そしてデータであるが、明らかに検査数と死者数では相関は見られない。
例えば「シンガポール」や「カタール」のように
検査をしっかりやっている国で死者数が少ない国もあれば、
「イタリア」や「スペイン」のように検査数が多くて死者数が多い国もある。
「イタリア」や「スペイン」は多くの被害が出たから
必然的に検査数が増えたという意見もあるが、「フランス」や「イギリス」は
同じような被害が出ているが検査数は少ない(「フランス:7,103人」「イギリス:9,439人」で、
日本よりは多いが韓国より少ない)。
また「ドイツ」はよく評価の対象となるが、実際には6千人近くの死者を出しており、
100万人当たりの死者でも日本の20倍以上だ。
意外なところでは「ポルトガル」や「イスラエル」「スイス」「オーストリア」でも
検査数が多い(韓国の2~3倍)が死者数は格段に多い(日本の数倍~数十倍)。
総じてアジア勢の死者数が少ないが、欧米系は多い。
という傾向がみられる。
筆者は専門家ではないし、しかも文系の人間だ。
それ故にどうしてこのような傾向がみられるのかはわからない。
しかしこれだけは言える。
「検査を増やせばいい」というのは疑問がある。
検査を増やせばいいというのなら、
検査数が多い国で日本より死者数が多いことを説明しなければならないだろう。
日本は確かに検査数が少ない。それにも関わらず死者数も少ない。
それも多くのマスコミが称賛する韓国と比較しても死者数が少ないのだ。
一部では日本の死者数が少ないことをデータの不備であるかのように言う人がおり、
一部の専門家もその説を唱える向きがある。しかし上記のようにそれは噴飯ものである。
逆に言うのなら、死者数が少ないのはそれら「検査数を増やすべき」という人たちからすると
都合の悪いデータなのだ。だからそういう意見を吹聴するのだろう。
誤解しないでもらいたいのだが、
筆者は「検査をするな」と言っている訳ではない。
もし必要とあれば検査すればいい。しかしそれは医療リソースを考慮し、
医療の負担にならない範囲でやればいいのだ。
そして医療に負担がかからない範囲で検査するのなら、それは大賛成である。
しかし検査件数と死者数に相関がみられない以上、
必ずしも「検査絶対主義」に陥る必要はない。
検査に対する優先順位は低い!
だから闇雲に検査数にこだわるべきではなく、必要に応じてやればいい。
もしそうじゃないという人がいれば、
(1)日本の死者数が低い理由
※「通常の肺炎で処理されている」等の陰謀論ではなく
(2)多くの検査をしている他国の死者数が多い理由
これらを説明してから言うべきだろう。
考えるべきことは日本国民の生命と生活を守ること。
少なくとも生命を守っている日本は、称賛されこそすれ、
批判されるいわれはない。
<(参考)死者数および検査数データの画像>
https://www.worldometers.info/coronavirus/
※筆者は昔、朝日新聞のエース記者のファンでした。
そんなお花畑が、目覚めるキッカケとは?